株式会社南越商会
南越商会社は、日本の家庭等から大量に捨てられそうになったまだ使える、もったいないものを発展途上国の生活者へ届けている。それは、奉仕の精神からはじまった!
- ✎小杉 隆
- 更新 2021/11/11
本社所在地 | 〒350-1202 埼玉県日高市駒寺野新田78-10 |
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代表取締役 | 南越 貴一 |
主な事業内容 | 中古自転車、中古家電、他中古機器類の輸出事業 |
ホームページ | http://www.minakoshishokai.co.jp/ |
南越社長の祖国はベトナムである。日本へ渡ってこられたのは1981年のことである。当時ベトナムは隣国と紛争状態にあり、国内は大変な混乱の中にあった。そんな中、一隻の小さな木造船に乗り、国を逃れたのである。何日も海を漂流し、喉の渇きと飢えに耐えていたとき、アメリカのタンカーに発見され、日本の名古屋へたどり着くことができたという。祖国から逃れる話を伺いながら、この人は本当にこんな壮絶な人生を歩んだきたのだろうかと思えるほど、穏やかな表情で話す姿には心を打たれた。
事業の出発は、ごみ集積場へ捨ててあったオーディオ機器や家電等を集めて祖国に送ることから始まる。これは日本がバブルに沸いているときの話である。日本は戦後、途方もない力で経済復興した。経済発展による大量生産は生活を豊かにしたが、一方で大量の廃棄物が市中を埋め尽くすようになっていった。日本人は「もったいない」を風化させてしまったのだ。
南越商会は、そんなもったいないの時代に生まれ、発展途上国の貧しい人々にまだ使える優良な工業製品などを安価で届ける事業をはじめた。それは幸運なことかもしれないし、先進国の驕りがもたらした必然と言える。
リニアエコノミーからリサイクルエコノミー、そしてサーキュラーエコノミーへとモノの流れは時代が変わるのに合わせ変化しているが、資本主義経済からみると富める国とそうでない国の格差は、縮まるどころか益々拡大するのではないかと思える。
動脈産業と静脈産業は表裏一体、メーカーとメーカーを支えるサプライチェーン、メジャーリサイクラーと地域のリサイクラーは、デカップリングを意識しながら循環型社会に向かうだろう。南越商会社に訪れると中小零細企業と個人事業者、地域の人々が深く関わっていると認識させられる。
南越社長の執務室には「何事でも、自分がしてもらいたいことは、ほかのひとにそのようにしなさい」と掲げられている。南越商会には、奉仕の精神が理念に掲げられ、それは人を助けるビジネスではなく、人に役立つ事業で南越商会は必要されていることなのだろう。今の日本は、発展途上国に支えられていると言ってもいいと思う。
IPCCの第6次評価報告書の第1作業部会報告書(WG1)では、地球温暖化は人間の活動が起因していることがはじめて断定されたことは、気候危機が資源循環の流れをも変えていくことは当然として、南越商会社のような地域に根差した事業者の存在は、ますます高まっていくことだろう。
【参照サイト】株式会社南越商会