- 地球温暖化
- ✎IRIEP事務局
- 2021/09/10
本作品は、グレタ・トゥーンベリさんが気候変動問題に対する対策と解決に向けて、一人ではじめた「SKOLSTREJK FOR KLIMATET」の行動の記録です。世界を相手にたった一人ではじめた行動に両親は見守り、協力はするもののすべて自分で考え、発言する姿が映し出されています。
この度、試写会に参加する機会がありましたので感想を交え、レビューしたいと思います。まず、彼女について、配給・宣伝会社のアンプラグドの資料を引用してご紹介します。
「2003年、オペラの歌手の母・マレーナ。配収で作家の父・スヴァンテの長女として生まれる。現在18歳で、妹のベアタと4人家族でスウェーデンのストックホルムで暮らす。2011年(グレタ8歳)に学校の授業で環境問題に関する映画を見た後、摂食障害になるほどのショックを受け、ふさぎこむことが増えた。のちにアスペルガー症候群と診断される。彼女は菜食主義者になり、飛行機での旅行を断るなど、生活習慣を変えた。気候問題に関しての独学を続け、2018年に気候のための学校ストライキ「SKOLSTREJK FOR KLIMATET」をはじめた。彼女の活動が世界に報道され、波及するとグレタは世界各地の会議に招かれるようになった。大物政治家などの大人たちを相手にしても動じることなく厳しく批判し、気候変動の具体的対策を打つよう訴えつづけている。グレタの「Fridays For Future(未来のための金曜日)」の行動は、南極大陸を除くすべての大陸で広がった。」
幼くして地球温暖化の事実を知り、気候危機への恐怖、未来への不安から食べることをやめ、話すことをやめてしまう。グレタの母・マレーナは、グレタが生きることをやめてしまわないようにあらゆる行動を起こす。これは著書「グレタたったひとりのストライキ」に出ています。しかし、グレタはひとりでも行動を起こせること。自分にもできることがあることを見つけ「SKOLSTREJK FOR KLIMATET」を掲げ、気候のための学校ストライキをはじめたのです。映画には、ストライキをやめて学校に行くことを勧める年配の女性も映し出されています。ある日、国際会議でのスピーチの依頼を頼まれる。瞬く間に有名人となり、マスコミに取り巻かれ、ひどい誹謗、中傷にも遭いつつも、未来のための行動をつづけていく姿に多くの人々が、特に若者が勇気と希望を見いだすのだと思います。
彼女をとおして、何を感じるかは人それぞれですが、アーノルド・シュワルツェネッガー氏は彼女と出会ったとき「衝撃を受けた」と語っています。そして、彼女をサポートすることを宣言しています。世界のリーダーがいろんな理由をつけて、行動に足踏みするところ「自分より科学者の声を聞いて」と理性ある言葉を投げかける姿は、一人の大人として、ガツンと大きなパンチを受けた気分になります。
この映画は、興行的には成功するかは分かりませんが、価値ある作品であることは疑うところはありません。公開後も多くのコミュニティや家庭で視聴され、社会をどう変革していくべきかの議論に影響を与え続けていくと思います。
個人的には、小学校、中学校、高校などの教育現場、気候変動問題に取り組むあるいは関心のある自治体、企業・団体等で取り上げ、批判ではなく、気候変動問題とグレタ・トゥーンベリさんの行動、そして気候正義について、一緒に考える機会が生まれればと思いました。
2021年8月9日にIPCCは、第6次評価報告書のWG1を公表しました。そこではじめて「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と人間の活動であることを断定しました。世界各地で起きている気象災害、大雨や洪水、山火事、干ばつなどは、気候危機、気候崩壊と強い言葉で表現されています。海の酸性化が進むとどうなるか。多くの人が、事態が極めて深刻な状況であることを一刻も早く、認識する必要があるでしょう。
映画は公開と同じ時期に、第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が英国・グラスゴーで開催されます。グレタさんが世界のリーダーを相手にした行動は、世界中の若者へ影響を与え、行動を起こす原動力となりました。世界が注目するCOP26で果たして世界のリーダーは、パリ協定で約束したことを守るためにどんな発言と行動をとるでしょうか。
個人的には、まずは再生可能エネルギー100%の電気を使用することを決めました。
いわゆるパワーシフトです。また、可能な限り、公共交通機関を利用しています。
温室効果ガスの排出削減を2050年に実質ゼロとするにはどうすべきか。家庭で、学校で、会社等で行動に移すときであるのは間違いありません。
【公式ポスター・チラシ】
グレタ ひとりぼっちの挑戦
10月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
© 2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.
公式サイト:予告編他 https://greta-movie.com/
出演:グレタ・トゥーンベリ、スヴァンテ・トゥーンベリ、アントニオ・グテーレスエマニュエル・マクロン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ドナルド・トランプ
監督・脚本:ネイサン・グロスマン
製作:セシリア・ネッセン、フレドリク・ハイニヒ
編集:ハンナ・レヨンクヴィスト、シャーロット・ランデリウス
音楽:レベッカ・カリユード、ヨン・エクストランド
脚本:ペール・K・キルケゴー、ハンナ・レヨンクヴィスト
2020年/スウェーデン/ドキュメンタリー/101分/ビスタ/5.1ch/原題:I AM GRETA
日本語字幕:石塚香 配給・宣伝:アンプラグド
【配給・宣伝】株式会社アンプラグド