カーレポ社は、自動車リサイクルにDXをもたらし、地上資源の徹底した再生利用と循環を目指す、リソースプロダクターである!
  • 資源循環
  • ✎IRIEP事務局
  • 2022/01/17

カーレポ株式会社は、ドイツ製輸入車の新車整備、使用済み自動車の適正解体を主な事業としている。自動車の使用開始から使用した後までをサポートする自動車に特化したサーキュラーな事業者である。
社名は、Car Responsibility for posterity「後世のための車の責任」から来ており、会社の社会的責任をそのまま表していて、社是と言える。社長の赤須洋一郎氏が創業者の父から事業を引き継いだのが2010年で、使用済み自動車の適正な解体事業のスキームを作り上げた。現在、事業の傍ら自動車解体事業者の団体である「NPO法人RUMアライアンス」の代表を務め、自動車リサイクル法の周知と解体現場を活用した適正なリサイクルを、見学をとおして伝えている。

[ 赤須 洋一郎 社長 ]

ここ、ひたちなか工場にはカーレポ社初の女性工場長が誕生した。SEとして鉄道会社のシステムも手掛けたキャリアの持ち主だ。その経験から、工場の基幹システムを開発するなど赤須社長が進めるデジタル化を進め、支えている。そのなかには車検証をスキャンするだけで読み取るアプリを開発し、作業の効率化、情報入力・管理までも劇的に変えたとのことである。

また、カーレポ社は女性の割合が非常に高い。自動車解体事業にあって、事業所で約3割、事務系は8割である。女性の活躍が叫ばれているが、カーレポ社はいたって自然であって、そもそも女性の働く環境ができていることだ。ひとつはクリエイティブな能力だ。動画の自社制作や制作会社との共同制作、広報や冊子のイラストなどすべて社員が行っている。赤須社長は、社員の能力と強みを引き立て、活かすことで会社と社員をWIN✕WINにしていると言える。社員のやる気を引き出しているのは社員への気配りであり、人を大事にする・尊重する姿勢である。男女に差などありはしないのである。

[ 自社制作のアニメーション]

[ 動画制作の様子 ]

[ 共同制作した小冊子:工場を見学してみよう!ページの挿絵を提供 ]
[ 社外報の表紙:社員撮影の写真を採用 ]

カーレポ社は、解体業許可、破砕業許可、引取業、フロン類回収業、古物商許可など、自動車リサイクル法の遵守に必要な許認可はすべて有している。場内は工程ごとに区分けされ、外された外装やナットやネジや線材などが無造作に落ちているなどまったくなかった。きれいな場内こそ、サーキュラーエコノミーのスタートなのである。



また、法31条の「解体自動車の全部再資源化の実施の委託に係る認定」も得ている。赤須社長は、使用済み自動車の全部利用の取り組みに力を入れているのだ。そこには、彼の資源循環への強い想いがある。
「まず車は地上資源の塊である。それを正しい考え方にそって循環資源に戻す。鉄ならば電炉メーカーへ還していくことが大事。それを可視化してく取り組みを充実させていくこと」。
あえてコストをかけて、ガラスやプラスチックのリサイクルの高度化にも団体と共同でチャレンジしている。また、鉄のリサイクルとして電炉メーカーとの協力関係の構築と強化を目指している。鉄あっての経済は今も昔も変わらないからだ。鉄のリサイクルを高度化し、見える化することは自動車リサイクル法の目的である、適正な処理と資源の有効な利用の確保、そして生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することにつながるのだ。


日本の経済発展は、鉄鋼業と自動車産業によるところが大きい。これから脱化石燃料が進み、内燃機関を持たないEV(Electric Vehicle:電気を動力にして動く車)へシフトしていくことは、多くの解体事業者が事業の大きな舵を切ることが必要となるかもしれない。しかし、カーレポ社は、リサイクラー、リソーサーとして、あらゆるモノの資源循環のプラットフォームを構築して、業界を変革していくに違いない。

[ 2021/12/7 カーレポ社 ひたちなか工場にて ]

【参照サイト】 カーレポ株式会社
【参照サイト】 NPO法人RUMアライアンス